デモンベイン&リリカルなのはSS
機神飛翔リリカルベインA's-Strikers
 〜ミッシングリンク〜 改訂版

by アンヅ♂

Episode-0 Phase-2



「ほな、さっきの話の続き。うちらも混ぜて聞かせてもらおっかな♪」

相変わらず、笑顔を崩さずにアルの対面にちょこんと陣取って座るのは「八神はやて」。お供のシャマルはその横に付き従うように立っている。アルはなにかあきらめたようにため息をつくと、チラリと離れて座ってる九郎の方を見る。九郎はカクンと首を項垂れて、その頭の上で手をヒラヒラさせて「どうぞ、どうぞ」という感じになっている。完全にあきらめというか、どうとでもなれと言うように開き直っている。アルは視線を戻し眉間に手を当て、渋い顔してシワを寄せるともう一度大きくため息をつく、

「はぁ〜…………  でもまぁ、このまま中途半端にとぎるのは時にあれだからな………… とりあえず、気を取り直して話を続けるから最後まで茶々と質問は入れるな。後でまとめて聞いてやるからな。」

そう言うと、一度咳払いをして姿勢をだたし真顔に戻るアル。

「さて………… 気を取りなし、先程の続きから話すとしよう。なのはが聞き慣れないと言った【魔力神経】と【魔力素体】だが、これは万民、誰にしも持ち合わせるものではなく、魔力を扱う者………… つまり、「魔導師」となる素質があるものが持つ特殊なモノだ。だが、それは目に見えるようなモノではなく、一種、概念的な要素も含む。ではまずは【魔力素体】から説明するとしよう。
お前達の間では「リンカーコア」と申した方が解り安いか? 魔力素体とはそれであり、これはその者が持つ魔力の大きさやキャパシテイを表す。その大きさ、色や形も様々。だからと言ってもこれは魔力だ。形はあれど形のないモノ。他人に取られたり、枯渇したりもする。魔力を扱うモノにとって大事なモノであるが、それが無くなったり、破損したりしても、特例を除いては命や身体に重大な事にはまず成らん。でだ………… 
ここからが、なのはの身体異常に関わる話となる「魔力神経」の話をする事になるのだが………… その前に一つ確認しておきたい事がある。」

そう言って、先ほどより真面目な表情でなのはを見つめ、

「大まかに自身より聞いていたなのはの経歴の中で魔力戦闘の最中、先ほど説明した『魔力素体』を抜かれた状態で魔力を酷使したり、魔力素体を無くしてたり、破損してから快復間もない状態で限界ギリギリか、それ以上の魔力を使うような戦いをするようなは事はあったか?」

アルの質問を聞いて、なのは、はやて、シャマルの表情が変わる。アルも3人の一瞬の表情でおおまかに事情を悟る。

「…………よい。あるのだな?」

アルの言葉になのはが無言で頷く。アルはすこしため息をついて、

「そっちの詳細は後で聞こう。だが、あるとなれば事は重大だ。なぜそれが重大なのかを汝たちに分かりやすく想像しやすいように『魔力神経』の話からする。

『魔力神経』とは『魔力素体(リンカーコア)』と同様に形合ってなきモノ。だが、魔力素体のように取り出しも取り外しもできん。なぜなら、魔力神経とはその名の通り『神経』だからだ。もちろん、身体にある神経とは違う。人の身体が肉体と精神に別れているのは皆知っておろう?」

アルの言葉に皆がうなずく。

「肉体がいくつかに機能があるように、精神体の構造にも、いくつかの機能というか役割があるのだ。その一つが「魔力神経」。これはさっきも申した魔力素体同様に、魔力を操る者だけが持つ特殊なモノだ。こいつは肉体に宿るか、外界より吸収されたかで集まった『魔力』を蓄蔵している『魔力素体』と己の意識とを接続するための眼に見えぬ循環回路のようなもの。これ自体、魔力でも構成されているが、その構造上、どうしても精神体の核とも言える「魂」にも繋がるために魔力素体とは違った別の構造体で構成されている部分がある。この物質は元来、丈夫なのだが、有る条件下では破損が激しく、破損してしまえば構造上治る事が非常に難しくなる。」

この辺りに来て、お付きのシャマルの表情が青くなる。

「ここまでの話で有る程度推察できた者もいるようだが、話を続ける。さっきも申したが魔力神経は魔力と精神をつなぐモノ。つまり、肉体と精神をつなぐモノの一部だ。これがもし破損や亀裂などを生じれば、肉体を動かすための神経と同じように………… 」

さすがにこの時点でなのは、はやても察しが付いた。

「自分の意志とは関係なく、身体に支障をきたす………… 」

「そのとおり。こやつ、「なのは」の類い希な魔力を考慮した上で、戦闘経歴や魔力疲労蓄積度を考えても、事故より二ヶ月近く経っても身体を動かすたびに激痛が走るという症状。その他などを全てを総合して考えれば、出される結果はは1つ。」

「その『魔力神経』に支障をきたしていると………… 」

「うむ、そうだ。おそらく、お前達が知る魔力素体を抜かれてでの戦闘において傷ついた魔力神経が、それまでの疲労蓄積と今回の戦闘での直撃攻撃で身体に異常がでるほどの破損が起きたと考えた方がよい。」

アルの返事に3人の表情が重くなる。

「それって………… 治らないのですか?」

シャマルがおそるおそるアルに聞き返す。

「いや。精神体構造に近いと言っても魔力がその源だ、修復はする。特に基礎魔力自体が大きければその修復は早い。だが、構成物質上、魔力素体に比べれば修復速度が格段に遅い。存在能力が高ければ早いと申しても一年やそこらでの修復は無理だ。もちろん、その間に魔力を酷使して使うような行為は避けねばならん。魔力神経とは魔力を通す通路みたいなモノだ。修復できていないままで魔力を通せば、傷口を広げかねんからな。まして、この世界で魔力神経は存在する知られていないモノ。それがどの様に傷付いているのか、傷の大きさがどうだと言う状態がわからんのでは、修復をするまでどれほどの期間が必要であるかは解らん。となれば、完治するのがいつのなるかもそれ同様だ。1,2年先か、それとももっと先か。」

「そんな………… 」

これを聞いてシャマル、はやても落胆するが、それは同じく聞いていたなのはの比ではない。しばらく3人は黙ってしまった。すると九郎が、

「おい、アル。おまえ………… それを魔術で修復する方法を本当は知ってるんじゃないのか? んでもって、お前が治せる程度の傷だって事もさっき、なのは診てた時に知っている。違うか?」

横やりを入れるように会話に入ってきた。

「しかしな、九郎…………」

押し黙っていたアルが口を開くが九郎がそれを止めるように、

「待て、何となく判ったぞ………… 術は知っていて、はぐらかすようにしているとなれば、その術を使うリスクがえらく大きいから黙ってる。違うか?」

そう確信めいた言葉を継げる。4人の視線がアルに向けられる。特に九郎の視線は熱く鋭い。アルはため息をついて、九郎から視線を背けると、

「あぁ、九郎の言うとおりだ………… 妾はその術を知って居る。そして、先ほどなのはの状態が大まかではあるがどこに障害が生じているかもわかっている。修復不可能な域には至っていない。だがな………… この術はその修復レベルがどうではなく、その術自体が危険なのだ。それは患者と術を行使する魔導師にも確実に負担をかける危険な術だ。精神体を魔術によって無理矢理に治すモノ。肉体の神経を人間の行う医術のみで治すのと同じと言えばわかりやすいか? 危険性だけならばこちらが上だ。しかも精神体を扱う以上、術者も精神体をふれられるような術を並列で使わねばならない。それは通常以上に細心で鋭敏な感性を必要とし、失敗は絶対に許されない。なぜなら下手をすれば術者、患者とも廃人となる可能性が50%以上といったギャンブル性が高い代物だからだ。気軽にこの場で『やる』『やらない』と即答で決める様なモノではない。」

そうはっきりと告げるアル。はやてやシャマルも、なのはのためになんとか頼み込みたいところであるが、見ず知らずの者に初対面でそのような事を頼める訳がない。まして、自分たちが詳細を知らぬロストテクノロジーに近いであろう術式。危険は多い………… だが、

「…………と、通常の者ならここでそう言って、今後の行動を相手に考えさす処であるのだがな。」

そういって、アルが顔に手を当て深いため息をついたあと、

「どうも、そんな事は関係ないから、なのはの身体を治せと言わんばかりにさっき以上に睨んでおる奴がそこにおるのでな。」

はやて、シャマル、そしてなのはが「え?」といった表情で顔を上げる。

「あったりめぇだ! やれる、やれないじゃなくて、やれるんならやるぞ。」

そう真剣な顔で言い切る九郎。アルのはやれやれと言ったように、

「まったく………… 我が主のお人好し加減は天下一だな。いや、宇宙一か?」

と、その意見に反対する気もないように笑ってそう言った。アル自体もなのはの身体を治す事に賛成しているかの様な表情だ。アルは九郎に向かって歩いていくと、その前で立ち止まり、九郎の顔を腰に手を当てて見上げる。

「しかし、良いのか? 術の危険は説明のとおり。術の性質上、魔力を莫大に喰う。そうなれば妾だけでなく、汝の力も多く借りねば成らん事になるだぞ?」

「聞くだけ野暮だぞ? そんなこと………… やらずに後悔するよりはよっぽどいい。」

そう言って笑う九郎。その表情に迷いはない。

「なぁ…………」

黙っていたはやてが口を開く。

「ん?」

「なんで、そんな簡単に決めれるん? その術は下手すれば廃人になるんやろ? 」

その顔は見ず知らずの人に何でそんな危険を顧みずに行動できるのかと聞きたげな顔だった。九郎は

「だって、後味悪いだろ?」

そう何事もない様に返す。なのは、はやて、シャマルが固まる。九郎はそんなことはお構いなく、

「オレは、なのはみたいな子がそんな状態のままってのが許せない。そいつを治す方法があって、それをオレが手助けできるっていうなら、やらなきゃ後味悪いじゃないか。だからやる。もちろん、こいつが言うようなリスクは確実にあるだろう。けど、こいつがこういう言い方する時はあるという可能性が有るだけだ。100%じゃない。それに………… 」

すこし言葉に間をおいて、アルの方を見つめると、

「やると決めた以上、やってのけるよな、アル。」

そういって、ニッと笑いかける九郎。アルの方もフッと笑みを浮かべ、

「当たり前だ。妾を誰だと思っている………… 世界最高の魔導書『アル・アジフ』ぞ。妾と主たる九郎が揃えば、恐れるモノなど何もない。大船に乗っておれ。」

もはや、正体を隠す気など微塵もなく断言するアル。九郎はすこし苦笑いをして見つめ、他の三人はさらに表情を固めていた。





「まぁ、ある程度は覚悟しとったけど………… あないにめちゃくちゃやとは思いもしなんだよ。」

正体をばらしたアルと九郎から、事の詳細を聞かされて、すこし気が滅入っているはやて。

「まぁ、それは私も同じだよ。はやてちゃん………… 」

ベットに横たわってしゃべるなのは。シャマルは今はお茶入れに行っている。九郎やアルは自室へと戻っている。

「しかし………… 九郎さんはうちと一緒のレアスキル持ち。しかもレベルはうちより上。あのアルさんは実はリインフォースと同じユニゾンデバイスやったとは…………しかもめっちゃ大昔の。あの身体かて魔導書その物やっちゅうのがビックリや。身体がページに変わって、あないにぶわぁって、広がるとこなん度肝抜かれたわ。」

そう言って、オーバーアクションするはやて。なのはは苦笑いを浮かべながら、

「あれは驚きだったよね。二人とも開き直って自分のこと話し出すまで、その片鱗も見せなかったから………… でも、アルさんが魔導書であると考えれば、あの知識の多さはすこし納得かな。」

「まぁな………… うちが持つ「夜天の書」より旧い書の精霊やってゆってたけど………… 真意はどうあれ、力の具合はほんまもんや。さっき、病院の外に控えとったザフィーラに念話で確認したんやけどな。そんな力を発動していたなんてまったく気が付きもせんかったって………… あんだけ力開放しといて、病室以外には微塵も漏れてへんちゅうのは脱帽や。シグナムとヴィータの眼は正しかったちゅうことやね。はぁ………… 世界は広いわ。」

苦笑いしながらはやての愚痴を聞くなのは。二人が帰ってから、ヴィータ達が来ていた事や、その他色々と連絡事項やら与太話をしていたのだ。

「はい、お茶よ。はやてちゃん。なのはちゃん。」

シャマルが紅茶とお見舞いの果物を切って持ってくる。横たわっているなのはのベットを起こし、食事用のテーブルを引き出してその上に置いていく。

「あのふたりの力や知識は目を見張るモノが多かったわね。でも………… それ以上にシグナムとヴィータちゃんが言っていたもう一つの事の方が納得いったわね。」

クスクス笑いながらシャマルが二人用の湯飲みにお茶を入れるとまず、はやてに渡す。

「それはそうやね………… あっちもあれほどやとは思いもせんかったけど。」

シャマルから注がれた紅茶をおいしそうに飲みながら笑ってはやてが呟く。

「シグナムさん、なにか言ってたの?」

なのはが首をかしげて聞き返す。はやてはどう答え様か思案してすこし顔を苦笑いさせる。それをみてクスリと笑ってシャマルが答える。

「あのね、なのはちゃん………… シグナムとヴィータちゃんが、九郎さんのことを『なのはちゃん以上のお人好しだから心配要らないだろう』って言ってたのよ。」

「あ〜! それちょっと酷いですぅ!」

シャマルの答えになのはが少しヘソを曲げたような顔をする。はやても笑う。

「けど………… アルさんもそうですけど、九郎さんの優しさは私なんかよりずっと深いのは確かだよね。」

なのはの言葉に二人が頷く。

「そやね、九郎さんの優しさはなんやろ………… 人が当たり前に思って、当たり前にやる優しさ。ちょっと考えちゃうと立ち止まったり、する事を拒んでしまいがちな。本当に当たり前の事や。あんまストレート過ぎて、今のうちらじゃちょっとできへん。」

はやてはカップを膝においてそう呟く、

「そうね。彼の優しさ、行動は本当に当たり前の事。でも、当たり前すぎて一番行動にするのが難しい事。私達みたいに組織の一部になった人間ではすることができない「当たり前の正義」。」

「うちらも………… 本当はそんな、当たり前の正義ができたらえぇんやけどね。」

「そうだね。」

しんみりして、3人の会話がとぎれる。しばらくして、互いの顔を見合わせ小さく笑い出し、

「なんか、あれや。遠くに研修行ってるフェイトちゃんにもあの二人、会わせたい気になってきた。」

「そうだね。九郎さん達にあったら、フェイトちゃんどんな顔するだろう。」

「なんか、困惑しそうな気がするわ。」

しばらく、そんな会話で笑い声が響く。

「なんにせよ。一週間後の術施工まではしっかり鋭気を養っておかなな。なのはちゃん。」

「うん。」




その日の消灯間近。九郎の病室。アルは今晩は泊まるために残っている。待合室からひったくった新聞を読みながら九郎が呟く。

「んで………… なのはの『魔力神経』治すためには何が必要なんだ?」

「ん? あぁ………… それほど妾達が用意するモノはない。手持ちのモノでほぼ事足りる。術自体は精密だが、そう下準備が要るモノはさほどない。」

寝床の準備をしているアルがそう答える

「へ? なら、別にすぐやれたんじゃ………… 」

間の抜けた返事を返す九郎。アルがため息混じりで振り返り、

「あほ………… だから、帰り際になのはに申しただろうが、『しっかり休め』と………… あれは世辞とかではなく、術の準備のためぞ。」

ベットに転がったまま、顔だけをアルに向ける九郎。

「そうなのか?」

アルはため息をついて首をガクリと下げる、

「本当に汝は鈍いな………… なのはが心理的に疲れておるのは汝とてわかっておるうが。」

「そいつはな………… けど、それはあいつが無理してきたのが原因だ。体力は病院生活の性ですこし落ちてるけど魔力の方には問題は見受けられなかった。術を施してもそれが危険になるとは思えないけどなぁ。」

そう言って、持っていた新聞をベット脇に放り投げる九郎。

「あの時説明したように、なのはに施す術は難しい術だ。やる以上失敗するつもりは毛ほどもないが、万全に超した事はない。なのははまだ子供だ。精神的にも、肉体的にも………… 特にあれくらいの年頃の少女はちょっとした体調不良で何が起こるか解らん。妾の見立てでは一週間あれば、調度なのはの魔力と体力のバイオグラフが好調点臨界近くまで上がるはずだ。さすれば、あの娘の潜在力も相まって、術の成功は確実となろう。1週間もあれば心理的疲労も解決しておるだろうしな。」

「お〜………… すげぇ。そこまで考えたたんだ。すげぇ。」

アルの返答に素直に驚いて、拍手を送る九郎。アルは何か言いたげに眼を細めるが、何も言わず後をむき、

「ま、魔法陣を画くための『イブンガイズイの粉薬』は多く方がよい。この世界は魔力法具の媒介にとして、『カートリッジ式』なるモノを採用している。前に遠見で見せてもらって、弾薬の中に一部であるが使われてるようだ。今日来た「はやて」とか申した小娘にでも頼んで持ってこさせよう。」

「それ、こすくないか?」

小さく突っ込む九郎。アルがギッと睨み、

「うるさい。妾達は赤貧なのだ。こっちで購入するなどできるか! なんなら、盗んできても良いのだが?」

ベットメーキングをしながら、顔だけふり返り半眼で睨むアル。

「いや………… それは不味いだろう。色々と………… いくら人助けとは言え、なぁ?」

「なら、いちいち体裁など構うな。使えるモノは死人でも使う。」

「まぁ…………言わん事は解るが、そのたとえはちょっとなぁ………… 」

そう言って、苦笑いを浮かべる九郎。

「黙って、汝は早く寝ろ! 一応、汝も病人だ。」

アルは整えた補助ベット離れ、九郎の前に来る。驚いて黙って見つめる九郎のおでこに軽いキスをすると、

「ほら、消灯の時刻だ。早く消さねば、またナースどもにどやされるぞ。ここの婦長はうるさくていかん。」

そう言いながら離れていく。九郎は苦笑いを浮かべながらキスされた部分を軽く指でかき、

「へいへい………… 半分、仮病人ではありますけどね。」

そう呟いて、ベット横にある端末を操作して照度を暗くしていき、就眠についた。





約束の日が来る。今日は若手エース「なのは」と「はやて」からの頼みと言うことでリンディ統括官、クロノ副提督の計らいで、病棟にある第3特別治療室が関係者以外立入禁止措置で貸し出される。内容の説明を受けた二人の計らいで内容を知らないモノは一切、近づくこともできない。今は術式の下準備を部屋の中央でアルと九郎の二人でなにかしらしている。すこし離れた場所になのは、はやて、シャマルの三人が控えていた。

「結局、立ち会いは話聞いたこの3人だけか………… 患者のなのはちゃんのぞけば、うちら二人のみ。ちょっと寂しいなぁ。」

すこし残念そうにはやてが呟くと

「しょうがないですよ。完全に存在すら無くなっているとされた超古代術式の施行。わたしたちが使う古代ベルカ式の以前。この世界の術式であるベルカ式、ミッド式の根源とも言われている術式です。私も立ち会っただけでは、その術式を憶えることは難しいかもしれません。古代術式はモノによっては精神汚染が激しいモノが有るとどこかで聞き知ったことがあります。もしかするとアルさんの術もそういった危険はあるかもしれません。なにせ超古代の術式ですから………… 」

はやての後ろに控えていたシャマルがそう呟く

「へ? そうなん?! あ………… もしかして、そやからリインを連れてこなかったんか?」

振り返りはやてが聞き返すと、シャマルはコクリと頷き、

「えぇ………… リインちゃん、生まれてまだ日が浅いですし、自我の確立もまだ万全じゃない。そんなところに解析不能な超古代術式を見せたら、それこそ危ないですからね。可能性は低いですけど、もしかすると解析しきれずにフリーズするかもしれませんし、最悪、プログラム自体を破損、機能停止といった場合があるかもしれません。いくら、はやてちゃんのリンカーコアコピーを元に創られたとはいえ、あの子の元は【彼女】ですからその根元には『蒐集』機構は今だ存在しています。それについては私もおなじですけど、リインちゃんは私以上に術解析は素でやってしまいますから、そういった危険な可能性がある以上、念には念です。」

そう答える。それを聞いてはやての顔に少し青い縦線が入る。

「うわ………… なんでいつも優しいシャマルがあんなに行きたがるリインを頑なに拒んだんかわかったわ。そっかぁ、そやったんやぁ………… ウチ、勉強不足やァ。」

納得したように呟くはやて、シャマルは何かを含んだ笑いを浮かべ、

「もうすこし成長していれば、連れてきてこの術を憶えさせることも可能だったんですけどね。どこまで見ればといった加減がわかりますし………… 」

「ま、しゃあない。今回は主であるうちが見て覚えるしかないか。」

「えぇ………… これが終わっても彼らに会えば、詳細は聞けば教えてくれそうですけどね。でも、はやてちゃんもあまり気を追いすぎないでね。」

「わかってる。でも、こういうんは現場で見るんが一番覚えるもんや。全部覚えるは無理や思うけど、それなりに気ぃ入れとかなな。」

「はい………… 」

気合いを入れるはやてにシャマルが短い返事をする。主であるはやても意気込んでいる性か気がつかなかったが、幾分か歯切れの悪い返事。シャマルはある種の予感めいた確信を持っていた。

(おそらくだけど………… あの二人が使う術を完全に覚えるのは私たちでは無理な気が…………)

どうしてもそう思えてならなかった。

しばらくして術の準備が終わったのか、アルがなのはを連れてくるようにと呼んでいた。



続く




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