40000HIT記念 機神咆吼デモンベインSS
『最狂の敵』

by 梁 明



 ちゅど〜〜〜ん!!

 凄まじい爆発が、逃げ行く○○○○を吹き飛ばした。
「ふう〜〜、すごいな、この「マギウススタイル」って」
「当然だ。汝の力は類い希なほどに強力なのだぞ。それを妾の力で補正し、制御しているのだからな」
 初めてアルと合体し、マギウススタイルとなった九郎は、まじまじと己の掌を見つめる。
「ま、魔導士としてはまだまだ未熟もいい所なのだが、なあに、妾が汝を鍛えてやるからな」
「って、まるでオレがずっと戦い続けるような口ぶりだが……?」
「当然だ。なぜなら、世界最高の力を持つ魔導書「ネクロノミコン」のオリジナルである妾を得たのだからな」
 九郎の疑問にすまし顔でアルが答えた時、

 ずず〜〜〜ん

 街を揺るがす大音響が聞こえてきた。
「お、おい……」
「うむ、先程のヤツが出てきたのであろう」
「しかし、何か音が大きすぎないか?」
「むう……そういわれれば……」
 地響きがだんだん大きくなり、「それ」が大通りの方から曲がってきた。

「のわああぁっ?!」
「ふにょわあっ?!」


 意味不明の叫びを発する二人。
「それ」は九郎達の方へと向きを変え、圧倒的な巨体を誇示しながらやってくる。
 全高は五十メートル以上はあるだろう。馬鹿馬鹿しいまでの巨体だ。
 しかし、それ以上に馬鹿馬鹿しいのは、そのデザインにあった。
 細いフレームとその中身がむき出しのままの角張ったボディ、ただの鉄パイプの如き腕と脚、平べったい足首から先とフライ返しの如き手。そしてなにより、八角形ののっぺらな頭に取って付けたような丸い目とやる気なさげな鼻。更には、股間に付いている巨大な砲塔、というか、先っぽが特に太くなっていて、男性の「アレ」を思い起こさせる「ブツ」が見る者に圧倒的な威圧感を与えていた。

 ギュイイイイイイィィンッ! ギュオンギュオンギュオンギイィィィィンンンン……

 エレキをかき鳴らす音が響く。よく見ると、肩の辺りに先程ぶっ飛ばした○○○○がいた。
「にょわあああぁぁぁっはっはっはっはっはっ!!
 この大! 天! 才! ドオオオオクタアアアァァァッ! ウエ〜〜〜〜〜〜〜ッストオ〜〜〜〜!! の作製したロボット、『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ
先○者28号スッペッシャッルッGX」』あまりの素晴らしさに声もないようであるな! 大十字九郎!!
 我が輩がおとなしいうちに魔導書を渡しておればよいものを!!」

 偉そうにふんぞり返る○○○○。
 話しかけられた九郎とアルは、目と口を大きく開けたまま……………真っ白になっていた。さすがに「全高55メートル」の先○者を目の当たりにすれば、誰でもこうなるに違いない。事実、このロボットを目の当たりにした警察、そしてテレビで見ていた政府高官達もまた、真っ白になっていたのだから。

 恐るべき破壊力を示した先○者、いきなりその場で足踏みを始める。

 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……

 その際の揺れは、震度4を記録する。だが、それだけではなかった。先○者は股間の砲塔に手を添え、スクワットを始めたのだ。

 ぎっしょんぎっしょんぎっしょんぎっしょんぎっしょんぎっしょん!!

 足踏みよりも大きな揺れが付近一帯を襲う。おかげで先の揺れでヒビの入っていた建物が崩壊した。その範囲は半径二キロに達する。
「これで貴様を葬り去るのであ〜る!
 『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGXバスター』発射であ〜〜る!!」

「スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGX」は、股間の砲塔の真ん中あたりに両手を添えて九郎達の方向に向け、中腰の姿勢から腰を前に突き出した。

 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドオオオォォンン!!

 その閃光は九郎達のいた場所から遙か彼方までを貫き、そのまま宇宙まで伸びていく。
 だが、九郎達は辛うじてその攻撃を避けていた、というか、先程の揺れで地面に開いた穴に落ちてしまっていたのだ。
「うわああああぁぁああぁああぁっ!!」
 想像以上に深い穴で、叩き付け慣れたら確実に、地面に真っ赤な花が咲いただろう。
「ええいっ! うろたえるな、馬鹿者! 何のために妾と一つになっておるのか?!」
 アルがそう叫ぶと、底が見える前に何重もの魔力障壁を展開し、落下速度を抑えた。

 どおおぉぉん!!

「っく〜〜〜……しびれた〜〜」
「何とか無事だったな……」
「ふい〜〜、確かにスゲェわ」
 痺れた手脚をブルブルと振りながら、九郎は立ち上がった。
「っと、ここは一体……」
 あまりにも巨大な空間だった。周囲の建造物が大きすぎて、高さの目算ができない。
「街の地下にこんな巨大な場所があったのか……」
 とりあえず周囲を見回し、灯かりのある方へと歩き出した。

「あ〜〜〜……広すぎ……」
「こんなに移動してやっと端が見えるとはな……」
 三十分も早歩きで来た二人は、やっと明かりの下へとたどり着いた。 
「それ」はあまりにも巨大すぎた。その為、「それ」を目の当たりにしながら九郎とアルはなかなか気付かなかった。だが、それでも気付かざるを得ないだろう。「それ」が九郎とアルに「気付いて欲しいオーラ」を放っていたのだから。
「なあ、アル」
「何だ、主」
「これはどう見ても、ロボットだよな」
「そうだな。“未完成ながらも”とりあえずは動きそうだ。ま、妾本来の機械神アイオーンに比べるべくもないものじゃが、この際四の五の言ってられん。主よ、これを使うぞ」
 九郎が返事をする間もなく、二人は操縦席へと転送された。
「ふむ、こ奴の名は『デモンベイン』か。気に入った!」
「あ、ま〜〜〜、とにかく発進するか」

 がごおおぉぉんん

 重苦しい音が響き、デモンベインを拘束していたアームが開いた。そしてデモンベインを乗せたトレーラーが、ある場所を目指して動き出す。
「うわわわわわっ?! 何だ何だ?!」
「うろたえるでない! 空間転送装置へと移動しておるだけじゃ!」
「そ、そうなのか?」
 操縦席でそんなやりとりがなされる間に、デモンベインはドクターウェストの前へと転送された。


「ぬああああっはっはっはっはっはっはっはっ!!
 さすが我が輩の『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGX』である!!
 あまりのもの凄さに、我が輩の才能が大ブレイクであ〜〜〜る!!
 ああ〜〜〜っ、大天才たるわが輩自身の才能に、自分で空恐ろしさを感じるのであ〜〜〜る!!」

 エレキギターをかき鳴らし、一人悦にいるドクターウェスト。
 だが、そんな彼の前に、巨大な魔法陣が浮かび上がった。
 そしてその中から、一体の、これまた巨大なロボットが顕れたのだ。

「憎悪の空より来たりて」
「正しき怒りを胸に」
「我等は魔を絶つ剣を執る!」
「「汝、無垢なる刃 デモンベイン!!」」


 どどおおおぉぉぉんん……

『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGX』の前に降り立つデモンベイン。
 だが、ドクターウェストは別な意味で驚いていた。
「なんだ貴様ら!! どうして我が輩の『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGX』と同じ姿をしておるのだ?!」
「「へぇ?!!」」
 二人がモニターを切り替え、デモンベインの姿を確認する。そこには、ドクターウェストの『スーパーハイグレ〜〜〜ド無敵ロボ先○者28号スッペッシャッルッGX』と同じ姿があった。違いといえば、デモンベインは白で、ドクターウェストのロボットは紅い事ぐらいだ。

 その時、九郎とアルの時間が凍結した。



「美しくない……」
 どこまでも昏い腐った空間で、ナイアは頭を抱えていた。
「あ〜〜〜、このおっさんに任せるんじゃなかったよ」
 肩を落として疲れているナイアの隣には、目を輝かせて対峙する二体のロボットを見つめるおっさんがいた。
「素晴らしい! 何と素晴らしい光景なんじゃ!!」
 名を梁教授という。
(ダディフェイス二次小説SSに登場するロボット好きの元教授 『まっどでGOGO梁教授』を参照)
 空間に映された二体のロボットが戦う様を見ながら、両者の応援に余念がない。
「このままじゃあ全ての機械神が先○者になってしまうよ〜。
 ロボットに詳しいからと連れてきたけれど、失敗だったね。最初からやり直そう……」
 そう言ってナイアは教授を肉塊に変え、今ある世界を破壊した。


「さ〜〜て、りせっとりせっと」


  ああ、無情



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