−相互リンク記念 風の聖痕 Short story−
ある日の出来事

by KAGURA


「あのね〜、校長って離婚の危機なんだってさ〜」
『はぁぁぁ〜』
 屋上でご飯を食べていると、篠宮由香里が突然そんな事を言った。
「あの真面目な校長が、そんな事をする訳無いじゃない」
 この学校の校長は、生真面目で有名だ。
 そんな校長が、浮気をするなんて考えられない。
「本当だよ〜、綾乃ちゃん。だけど、校長は否定をしているみたいだけど・・」
「由香里。何処から、そんな情報を仕入れて来てるんだ?」
「・・・・・聞きたい? 七瀬ちゃん」
 笑顔。スッゴク良い笑顔。
 この笑顔の奥にいる悪魔がいると思うと寒気がしてくる。

 由香里の話をまとめるとこう言う事らしい。
 なんでも、香水の匂いで疑われ始めて、つい最近では見知らぬ女性と一緒に居る現場を写真に収められた。
 だが、校長はそれを否定しているが、写真まであるのだ。馬の耳に念仏。
 そこで、校長は腕の良い<祓い師>に頼んで、お祓いをして貰うらしい。

「・・・その現場って何処なの?」
「学校の校内。校長が良く花の世話をしている所らしいよ」
 いや、それは妖しいだろう?
 生真面目な校長が不倫したとして、校内でするハズが無い。
「ねぇ、綾乃ちゃん。こんなのは、綾乃ちゃんのテントリーだよね」
「・・・・・・・」
「腕の良い<祓い師>も気に為るし・・・行かない?」
 下手に断ると後が怖い。
 友達だから、下手にばらす事は無いだろうが、敵に回すと厄介だ。
「・・・・行けば良いんでしょう。行けば!!」
「うん」
「七瀬は如何するの?」
「部活の用事があるから、駄目なんだ」
「そう。じゃあ、私と由香里で行くしかないみたいね」
 そして、問題の場所に向った。



 問題の花壇は、これと言った問題は無かった。
「如何かな、綾乃ちゃん?」
「う〜ん、これと言った霊は居ないわね」
「・・そうなんだ。じゃあ、ヤッパリ浮気なのかな〜」
 由香里の顔が少し暗くなる。
 確か、今の校長は由香里と色々と仲が良かったはずだ。
 そんな校長が、離婚して悲しむのは辛いだろう。

「おい、お前ら。此処で何をしてるんだ?」

 行き成り背後から声を掛けられた。
「か・・・和麻。如何して、此処に!!」
「ここの校長に、祓いを頼まれたんだよ」
「ああ。腕の良い祓い師って、和麻くんの事だったんだ」
 まあ、腕の良いフリーの祓い師は和麻ぐらいしか居ないだろう。
 性格は実力に関係ないが・・・。
「此処に来ても意味無いわよ。何にも無いんだから」
「―――そうかな?」
 すると、和麻は花壇に近づく。
 そして、花壇の花を引っこ抜いた。
「か・・・和麻!! 何をしてるのよ。校長が大切に育てているのに!!」
「あのな〜、綾乃。力技以外にも、もっと術を親父達から習えよ」
「えっっ?」
「校長に付いていた香水の匂いは、この花だ。それで、抱き付いていた女性は花の精なんだよ」
 そんな事を言いながら、花を引っこ抜いている。
「だっ・だけど、引っこ抜いた花は如何するのよ。燃やすの?」
「いや、コイツらは校長の仲を取り持ってもらう」



 その後、和麻の引き抜いた花は、校長の名前を使い奥さんのプレゼントとして送ったらしい。
 その結果、離婚は免れたらしいが、別居という形に留まった。
 だが、前よりは夫婦の仲が良くなったらしい・・。

「へ〜え、そんな事が在ったんだ」
「うん、校長と奥さんの仲が元に戻って良かったよ〜」
 由香里は、心底嬉しそうに言った。
「・・・・・」
(由香里。綾乃、如何したの?)
(和麻くんに、先を越されて不機嫌なんだよ)
(なるほどね)
 不機嫌な綾乃を尻目に、そんな事を言っていた。
 当分、この二人の仲が進展する事はないだろう・・。

END




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