−相互リンク記念 斬魔大聖デモンベイン Short story−
螺旋世界の一つの終わり
(ある意味はっぴーえんど)
by 梁 明
酷く苦しい闘いだった。
終わりなど見えない深淵……光眩しい過去……目の前限りに見える現在……そして昏く虚ろなる未来……幾度と無くこの道を歩き、挫けてきた。
果てなく続くかと思われた道を断ち切るモノが現れた。
汝、無垢なる刃―――デモンベイン。
大十字九郎は魔導書「アル=アジフ」と共に強大なる力を操り、遙か三千世界よりの因縁深き敵=マスターテリオンとの闘いに勝利した。だが、遙か宇宙を漂うことになった九郎とアル。度重なる闘いの疲労によって気を失った九郎をアルは悲壮な決断で彼だけを助けることにした。
「汝が生きていてくれれば、妾はそれだけで……」
愛する者を救いたい、その一心だけで動いたアル。
「力を貸してくれ、デモンベイン……」
コックピットに光が満ち、デモンベインそのものが光となった。
今日もアーカムシティに不協和音が響く。
ギュイイイィィィンッ!! ギュララギュララギュイギュイギュイイィィンン……
巨大な破壊ロボのてっぺんでエレキギターをかき鳴らす『アレ』な人物の仕業だ。
「ぬあ―――――――っはっはっはっはっはっ!!
我こそは大! 天! 才!
ドゥオオオオォォックタアアアアアァァァァッッ!! ウウゥエエェェッスッ……」
「博士、うるさいロボ」
『アレ』が可憐な少女にド突き倒され、頭血をたなびかせて墜ちていく。
「こおっら! エルザっ!! 創造主たる我が輩の頭をド突くとはどういうことだ?!
お前には創造主たる我が輩に対する尊敬の念とか愛情とかを持ち合わせておらんのかっ?!!」(再び上がってくるのに5秒)
激しく肩を上下し、滝のような涙を惜しげもなくだだ漏れにさせた『アレ』が地団駄を踏む。
「ないロボ」
「ぬおおおおおぉぉぉぉっ!!
なんっ! たるっ! 悲劇っ!
なんっ! たるっ! 不幸っ!
我が輩はっ! 我が輩はっ! そんな娘に育てた覚えはないぞよっ!!」
「育てられた覚えもないロボ」
頭を抱えてのたうち回る『アレ』と、冷ややかな目で眺める美少女の漫才が果てなく続くかと思われたその時、
ドンドンドンドンドンッ!
地上からの砲撃が響いた。
「この〜〜っ!! 治安警察をなめるな〜〜っ!!」
「あ〜〜、ストーンくん、ほどほどにね、ほどほどに」
「ネス警部っ!! 何をおっしゃってるんですか?!! 今こそヤツに目にもの見せないで、どうするんですかっ!!
治安警察の名折れですよっ!!」
「だけどさぁ、やられちゃったら名折れもへったくれもないじゃないの」
脱力しきった会話がなされる。
「くっくっくっくっ……そ〜〜〜〜んなオモチャで、大っ! 天っ! 才っ! たる我が輩の造った『スーパーウェスト無敵ロボV3 力と技の二刀使い(ちょっとゲイっぽいやねン)』に傷など付けられるモノか〜〜〜〜っ!!」
「ぬううぅぅっ、完璧に嘗められてるじゃないですか?!」
「だからいってるだろ? ほどほどにねって」
「だったらヤツは、野放しですかっ?!」
ストーンがネスに食いかかったその時、
「なんだ、ヤツら、ま〜た性懲りもなくこんな事をやってたんだ……」
ちょっとイヤそうな、だらけた調子の声がした。彼は黒く長いコートをはためかせ、腰のホルスターから右手に真っ赤に燃えるオートマチックを、左手に白銀に輝くリボルバーを抜いた。その途端、彼の周囲に光が集まり、立体的に重なる魔法陣のリングと五芒星を描いた。
端で見ているストーンやネスにも、何かの力が集中しているのがはっきりと判る。
「な〜んだ、あ奴は? こけおどしなんかしおって?!」
「何だろう……あの人を見ていると、胸がどきどきするロボ……」
「こおおおっら! エルザっ! お父さんは許しませんよっ!!」
「許して貰おうなんて思ってないロボ」
「むっき〜〜〜〜〜っ!!」
スーパーウェスト無敵ロボV3 力と技の二刀使い(ちょっとゲイっぽいやねン)の上で不毛な会話がなされている頃、魔力の充填が終わった銃を構える男、大十字九郎。
「往生せいやああぁぁぁっ!!」
ドドドドドドドドドンッ!!
超高速で左右の銃が火を噴いた。
十発の巨大な炎がスーパーウェスト無敵ロボV3 力と技の二刀使い(ちょっとゲイっぽいやねン)の魔力障壁をぶち破る。そして白銀に輝く弾道が六発、狙い過たず障壁の穴を通り抜け、スーパーウェスト無敵ロボV3 力と技の二刀使い(ちょっとゲイっぽいやねン)の足の付け根と腕の付け根に突き刺さり、大爆発を起こした。
「ぎゅおおおおおおおおおおおぉぉぉっ?!!」
「ロボオオオオォォォォォォォォッッ?!」
スーパーウェスト無敵ロボV3 力と技の二刀使い(ちょっとゲイっぽいやねン)の上で漫才をしていた二人が、破壊の衝撃で地面へと落下していった。
「ふっ……これでようやく静かになったな……」
大十字九郎は銃を納めると、大口開けて呆然としているストーンとネスの肩を叩き、「あとはよろしく」と言って、さっさと路地を歩いていった。
「何だったんだ……あいつ……」
「……さあ……」
ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
規則正しい電子音が響く。
「まあ……九郎ちゃんったら、こんな楽しそうな夢を見てるなんて、起こすのが可愛そうになってきちゃった……」
ライカはディスプレイに映る映像を楽しげに見つめていた。幾度も繰り返されるこの物語は、どうやっても九郎が様々な難事件を格好良く解決していく、痛快無比な勧善懲悪ストーリーが繰り広げられていたのだ。それも所を変え品を変え、延々と。今ので第427話だった。九郎の方をよく見ると、おでこやこめかみなどに、いくつもの端子がくっつけられており、それから伸びるケーブルが九郎の寝ているベッドわきのコンピュータに繋がっている。ライカが見ている映像は、このコンピュータで処理された九郎の夢なのだ。
「ですが、そうも言ってられません。このままでは一生眠ったままと言うことになります」
「それは困るわぁ。だって、九郎ちゃんには食べさせるだけ食べさせてて、まだ元を取ってないんですもの」
「しかし、これでも生きているのが不思議な状態ではあるんです。だって、大気圏外から街の郊外に『頭から』落下してこの程度なのですから」
医者が指し示すのは、九郎の頭にできてて、未だに腫れの引かないでかいタンコブだった。このおかげで九郎の身長は三十センチは高くなっている。そのこぶには氷嚢が二つ、乗っけられていて、ますます滑稽さを増していた。
「う〜〜〜ん、だけど、このコブが付いたままで目を覚ますとどうなります?」
「まあ、おそらく、痛みで七転八倒でしょう」
「それなら、この腫れが引くまでこのままでということで」
「仕方ないですな……」
大十字九郎、酸素欠乏症のため、脳に重い障害があると判明したのがその二年後だった。
合掌
「お〜〜い、九郎! 危ないからやめなよ!」
コリンとジョージが教会の屋根に向かって叫んでいる。そこには、病院を退院して教会に引き取られた大十字九郎の姿があった。
「ふっふっふっ、大魔導士・大十字九郎に不可能はない!
マギウス・ウィングっ!!! とうっ!!」
どしゃ……
「もう、九郎ちゃんったら、またお屋根の上から飛び降りたの?」
「うん」
「まだ痛い?」
「うん」
「じゃあ、イタイのイタイのとんでけ〜」
ライカに頭を撫でられ、やっと眠りにつく九郎。そんな九郎に添い寝して、ぎゅっと抱きしめるライカであった。
合掌
「こら〜〜〜〜!! 妾の出番〜〜〜!!」
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