−歌パロShort story−
『天地無用!』
by Sin
私の目の前を通り過ぎていく人…
何故かいつも女の子達に追いかけられている。
貴方が悪いわけじゃないのだから知らん顔していればいいのに、人のいい貴方はそんなそぶりも見せられないのね。
女って狡いものなのよ。
いつでも男だけが痛い目に会わされているの。
息を切らせて駈けていく彼を心の中で応援する。
さあ、早く逃げるのよ。
女から近づいて誘いをかけてきたくせに、いざとなったら『男なら責任を取れ』なんて言われるのよね。
本当はね、始めからそれを狙っているの。
男に気付かせずに、み〜んな奪っていくわ。なにもかも…未来さえも…ね。
女って、怖いものなのよ。
始めは『貴方の為なら私…なんだって出来るわ』なんて言っていても、ほら、良く自分の周りを見回してごらんなさい。
いつの間にか立場が逆さまになってるでしょう?
もうそろそろ気付いてもいい頃よ。
ほら、気付いて!
貴方はもっと違う未来を夢見ていたはずよ。
− こんなはずじゃない! −
そう言ってしまえばいいの。
貴方のせいじゃない。だから知らん顔していればいいわ。
女って悲しくなくても泣けるのよ?
涙を見せられたくらいでオロオロしてちゃ、人生まで奪われちゃうわ。
さあ、振り返らないで。
早く逃げるのよ。
『愛』なんて『幸せ』となにも関係ないわ。
与えても…捧げても…まだ物足りないのよ。
男の子が『気後れ』と『気配り』を始めたその頃から、少年は少しずつ女の奴隷になっていくの。
女の子だからって遠慮したり、女の子の為に…なんて考え始めたら、うまく騙されていくわ。
働いて…働きすぎるくらいに働いて……そして得た物は、み〜んな吸い取られて…
あとは…死ぬだけ……
貴方のせいじゃない。だからそんな情けない顔をしないで。
今、貴方が奪われそうになってる唇。
気付いてる? 唇と一緒に、貴方の人生も奪われようとしているのよ。
ほら、今ならまだ間に合うわ。
下手に同情したり、遠慮したりしてちゃダメ。
またうまく騙されていくわ。
天と地も見えない程に貴方の人生がねじれてしまう前に…
さあ、早く逃げなさい。