−歌パロShort story−
Stay With Me

by Sin

 幼馴染み。俺と愛美の関係。
 いつも側にいるのが当たり前で、今さら特別に伝える言葉もなく、友達以上恋人未満って
感じで、俺はいつも友情の顔を装っていた。

 だけど・・・

「今日・・私、4組の池口君に告白されたの・・」

 聞き慣れない名前。
 突然持ち出された話に動揺する気持ちを無理矢理抑え込む。

「へ、へぇ・・・ははっ・・お前の事、好きになる奴なんていたんだな」

 本当は・・ずっと好きだった・・
 けど・・言えなくて・・・
 
 気持ちをごまかすように笑い飛ばして・・「幸せに」って言ってた。


 ・・雨・・真っ黒な空から大粒の雨が降り注いでいる・・
 
「くそっ!」

 電柱に叩きつける拳。
 傘なんて差していない。
 
 素直になれない自分の情けなさが悔しくて、涙が溢れる。

 まるで俺の涙のように、いつまでも降り続く雨・・

 びしょ濡れのまま、なにをするでもなく歩き回っていた俺は、ふと、見覚えのある傘を見つけた。

「・・・・愛・・美?」
 呼びかける俺の声に微かに肩を震わせて、愛美が顔を上げる。
「なんで・・ここに・・」
「・・断って・・きちゃった・・」
 ぎこちなく微笑むその瞳から、涙が溢れ出す。

「・・だって・・私・・・」
 ぽろぽろとこぼれ落ちる涙を拭おうともしないで呟く愛美を、俺は思わず抱きしめていた。
 驚いたように身を固くする愛美。
 持っていた傘が、手を離れて地面に転がった。

「え・・えっ・・と・・?」
 戸惑う愛美を強く抱きしめて、俺は口を開いた。

「ごめん、愛美! 俺、俺・・・っ・・愛美の事、好きだったんだ!!」
「・・・・っ!?」
 息を呑む。まるで時間が止まってしまったかのように、愛美は身体を強ばらせる。

「ほん・・と・・? 嘘じゃ・・ないよね・・?」
「ああ、何度だって言える! 俺は愛美が好きだ! 誰よりも愛美の事が好きだ!!」

 震える愛美の身体。
 しっかり抱きしめていると、愛美もそっと俺の背中に手を回してきた。

「愛美・・」
「・・・嬉しい・・私も・・私も好き! 大好きっ!!」

 強く・・強く抱きしめる・・
 どんな事があっても絶対に離れない・・離さない・・

「100年先の君にも誓える・・俺は例え何があっても・・愛美・・お前を離しはしない!」

 俺の言葉に愛美は強く頷く。

「信じてるよ・・」

 見つめ合う俺達。
 いつしか雨は上がり、雲間から月の光が俺達を照らしていた・・
 まるでスポットライトのように・・





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