−歌パロShort story− ロード全章SS
ロード 〜第十三章〜

by Sin

 木枯らし吹く墓地の一角…

 君の墓の前で、俺はそっと呟く…

 ありがとう……と。

 愛を……夢を……全てをありがとう……

 1年が過ぎ…10年が過ぎて……

 やっと言えるよ…

 君に……ありがとうって。


 瞼を閉じれば映画のように、雪の銀幕に君が映る。
 忘れる事なんて無い…忘れる事なんて出来ない…無邪気な笑顔……

 本当に綺麗だった……眠るように浮かべていた最後の笑顔も……

 ふと、掌に落ちる滴。

「……涙…まだ出るんだな……」

 苦笑する。
 永い年月は俺の心を癒してくれている……
 でも、ぽっかりと空いた君のいない空洞は…一生埋まる事はないんだろう…

 君と歩いた道の上には、綺麗な花が咲いているよ…

 あの花を見る度に君の言葉が聞こえてくる。

『生きてるだけで…幸せだったよ……』と。


 あの頃…何でもないように感じていた事こそが……本当の幸せだったんだと、失ってから気付いた……

 二度と戻る事は出来ないあの夜を思って零れる涙……

 でも…

 永遠の命を信じてるから…

 いつか、君がまた生まれ変わってきてくれると信じているから……

 悲劇のドラマに…幕を下ろそう……


 君との哀しみに…愛に…夢に…過去に……さようなら…
 
 もう…哀しまない……哀しめば君が生まれ変われなくなってしまうから……

 君との想い出は……全て俺の心の引き出しの中…深く仕舞っておこう…


 ありがとう……悠子……

 俺を愛してくれてありがとう……

 俺に愛する心を教えてくれてありがとう……

 夢を与えてくれて…ありがとう……
 
 すべて……ありがとう……


 何でもないような事が…幸せだったと思う…
 何でもない夜の事…二度とは戻れない夜…

「ありがとう……そして………またいつか逢えるその日まで……さよなら……悠子…」

 一輪の花をそっと置いて、俺はその場を離れる……

 全ての想い出と過去を胸の奥に仕舞い…

 再び逢えるその日を信じて……


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