−歌パロShort story− ロード全章SS
ロード 〜第三章〜

by Sin

 本当は声を出して泣きたかった・・
 あの夜、君が消えた道で何度も追いかけようとして、目を閉じてアクセルを踏み込んだ。

『そんな事・・しないで・・亮治・・』

 突然側で君の声が聞こえて、俺は思わず目を開き、アクセルを弛めてしまう。
 路肩に止めて周りを見回しても、誰もいない・・

 そんな時、俺はふと気付いた・・

「・・・そうか・・悠子・・今でもいるんだな・・俺の側に・・俺の・・心の中に・・」

 目を閉じれば聞こえてくる悠子の声・・
 浮かんでくるその笑顔・・

「死ねないよな・・俺が死んだら・・俺の心の中にいる君まで・・死んでしまうから・・」

 そう呟くと、俺は悠子を奪ったカーブに、花を置いた。
 あの日以来・・こうしてここに花を置くと・・・いつも雪が降り出すんだ・・

 まるであの日に戻ったかのように・・


「挙式も指輪もいらない」
 そう言って悠子は空き缶の蓋を出して、「これでいいの」と言いながら、2人で着けてはしゃいでいた。
 大きくなったお腹に俺の手を当てて、「男の子と女の子とどっちがいい?」
 そんな事を聞いていた・・

 今も暮らす君のいない部屋で・・あの頃の幸せの想い出を噛みしめていた・・・
 

 また一年が過ぎ・・今年もまたあの日・・不思議と今夜も大雪だ。
 あの夜、君が消えた道で、どこまでも続く赤いテールランプがとても綺麗で・・
 君とのあの日の想い出をもう一度見られた気がした・・


 遠い昔にした約束・・
『いつも一緒に、泣いて、笑って・・どんな道だって一緒に歩いて・・2人でずっと生きていこうね』

「・・そう・・約束したのに・・」
 思い出す泣き顔・・思い出す笑顔・・
「う・・く・・ぁ・・っ・・・」
 涙が溢れる・・

 これから君は俺の心の中に生き続けていく・・
 だから俺は・・

 君の分まで泣こう・・
  君の分まで笑おう・・
   君の分まで歩こう・・
    君の分まで・・生きよう・・
  






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