−歌パロShort story−
Requiem

by Sin

 混沌…
 病み、苦しみ、そして腐食していく世界…
 あらゆるものが、ただ滅びを待つしかないこの世界で歌い続ける少女の姿を見つめるのは、怪しく輝く瞳……

 人は彼を、『死神』と呼ぶ。

 彼は霧めく、欺く、姿で惑わして、身体の奥に植え付けた死の種を撒き散らす。

 深い闇に存在を隠し、誰も逃さず、ただ繰り返される悪魔の悪戯。

 瓦礫の下で咲き乱れた死の花弁。赤く広がっていく姿散り逝く時、瞳に浮かぶは死神の姿。魂の叫びに愉悦し死の嘆きに喉を潤す亡者の神。

 闇に囚われた機械人形の命の叫び。
 身体は傷つき、心を奪われ、枯れ果てた声を振り絞って叫ぶように歌い続ける少女。
 それは、死を恐れ、生に縋り付こうとする無垢な命の輝き…

 だが、それもまた無為な事…
 すでに彼女は…死神に愛されてしまった…

 深い眠りを遂げて、闇に生きてきた女神…
 それは赤い月の下で死の舞を踊り続ける。

 罅割れた大地を背に、女神の歌う死の鎮魂歌。
 永い歳月の元で、その身が朽ち果てるまで踊り続ける。


 深い樹海にのまれ、彷徨い消えていく世界。
 支配、絶望が埋め尽くし、死の灰が吹き荒れる風に、人々は『神などいない』と叫ぶ。

 この世は全て腐敗の未来。
 ただ、魂の奪われるその時まで、嘆き、叫ぶだけの世界…

 深紅に染まった大地、瓦礫の下で咲き乱れる紅き死の花弁。
 燃え尽き、灰となるまで叫び続ける…終幕を迎えるその時まで。

 餓えた砂漠で孤独に求め続けた快楽の地。
 蜃気楼に浮かべたオアシス…そして聞こえる鎮魂歌。

 誰も逃げる事など出来はしない。
 墜ちて逝く……足掻く事も…藻掻く事も出来はしない……
 死神に抱かれて、何もかも奪われて逝く……運命と知る……





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