−相互リンク記念 Original Short story−
すみれ色の空

by Sin

もう、どのくらい経つのかしら……
とても遠い昔の事のように感じてしまう……

あの日……彼が私に告げた言葉……
「しばらく、会えなくなる……」

いつ……? いつになれば会えるの?
ずっとじゃないよね……
絶対……帰ってきてくれるよね……?
「必ず……帰る。いつとは言えないけど……いつか……必ず……」
そう言った彼を待って……3年……

初めのうちは、毎日カレンダーをチェックしてた………
そうする事で、少しでも早く彼が帰ってきてくれるような気がして……
でも……彼はいつまで経っても帰ってこなかった……

人づてに聞いた話では……彼は他に好きな人ができて、その人と……
でも、私は信じてる……何があっても……誰がなんて言っても……

あの日、彼と二人で見上げた空……
すみれ色に輝いて……すごく綺麗だった……
きっと……またあの日のように、綺麗なすみれ色の空の日に……
帰ってくる……
そう思って、待ち続けた………

そしてさらに2年……
まだ彼は戻らない……
そんな中……いつの間にか私は……彼の顔を思い出せなくなっていた……
一緒に撮った写真……彼が一人だけで撮った写真……
毎日見ていたのに……
いつも思っていたのに……

そして……彼の声も……解らなくなってきた……
以前の私なら……どんなに騒がしくても……彼の声なら絶対に解った……
けど……今は……

そして……さらに5年が過ぎた……

高校生だった私も、いつの間にか社会人………
毎日仕事に追われている内に、私は彼の存在そのものを忘れていた……

開かれなくなったアルバム……
その中で笑う私と彼……

そして……1年が過ぎた………

いつものように仕事を終えて帰ってきた私の部屋の前に、誰かがいる。
「……あの、どちら様……ですか?」
私がそう言うと、その人は一瞬悲しそうな顔をしたが、ふと私の手に目をやって、
安心したかのように溜息をついた。
「………あの?」
「………約束……」
「えっ?」
突然の言葉に訳がわからない私。
そんな私を彼はじっと見つめている。
「………忘れた……かな?」
寂しげな彼の声……
どこかで……
私はこの声を聞いた事がある……

「必ず……帰る……って……」

その瞬間、私の中で宝箱の鍵が開いた。
いっぺんに溢れてくる想い……

いつしか……私は涙を流していた……

「約束………ね……」
「ああ……約束だ……」

彼と交わした言葉……あの……遙かな昔に思えるあの時の言葉……

「…………お帰り……なさい……」
「ただいま……帰ったよ……」

彼の言葉に、想いが胸の中で溢れてくる……
震える手を彼の背にそっと回す……

伝わってくる彼の温もり……
あの時まで……いつも感じていた彼の温もり……
いつの間にか、私は彼にしっかりと抱きついていた………
……絶対に二度と離さない……
私の中に激しい想いが溢れる。
そんな私を、彼は強く……痛いくらいに強く抱きしめてくれた……
「もう……離さないで……」
「二度と………離さないよ………」

しっかりと抱きしめあう私達を……
すみれ色の空が優しく包み込んでいた………






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