デモンベイン&リリカルなのはSS
機神飛翔リリカルベインA's-Strikers
 〜ミッシングリンク〜 

by アンヅ♂

『二人のことは表だって語られることはない。それは、本件自体がロストロギア扱いとなってしまったから………… けど、ここにだけは記しておきたい。二人の活躍を………… そして、そんな二人の姿を忘れないために、私たちはあの言葉を造った。
あの人の様に、どんな者にも負けない心をもって、どんな困難であろうとぶち破り、道を切り開く、エースを越える者【ストライカー】を………… 』


Episode-0  Epilogue


「これって………… 」
資料室に転がっていた見慣れないデータチップに入っていた文章データを、資料室の端末で広げていたティアナが驚いて、独り言を呟く。
「入力データの期日記録だと…………八年前だね。この前シャーリーさんから聞いた、なのはさんが倒れた事件の後。文の内容からすると、その頃に起きたって言うロストロギア事件のことかな?」
ティアナの後ろで、同じく端末画面を眺めていた相棒のスバルが呟く。二人は先週、限定解除を受けたセカンドモードでの訓練参考となる資料を、資料室に借りに来ていたところだった。資料室の片隅に転がっていた見慣れぬデータチップ。この世界ではとうに廃れたデータ記録媒体であったが、管理外世界などでは使われている事が多く、局では端末につなげば中身は確認することが出来た。拾得物は一応中身を確認するのはきまりであり、端末でその中身を調べようと開いて見たところ、ティアナが、先日聞き知ったばかりの、【なのは重体事件】に関わりがある様な書面データを見つけたわけだ。
「えぇ………… 第77管理外世界で起きたロストロギア暴走事件。たしか、暴走したロストロギアを、現地に駆けつけた、現在は極東方面第207部隊で指揮官になられてるガンツ二佐率いてた特殊部隊と、たまたま同じ部隊に研修で居合わせたフェイト隊長が解決したってことになってる事件なんだけど………… 」
そういって、画面を見つめながら顔をしかめるティアナ。
「つまりこれって、その時に居合わせた誰かの日記ってこと? 内容がすごく事件内容に似てるし、内容が事細かだし…………」
「そうね。おそらくそうだと思う。ざっと読んでも、作り話にしては出来過ぎてる内容ね。でも、私が気になるのはここ。この名前が故意に誤魔化してある二人と、後半にいきなり出てきた二人ってのが、私的にちょっと気になるとなのよね………… 」
2人でこそこそ画面を見ながら、話していると、
「お、ティアナとスバルやないか? ここでなにしとるん?」
いきなり後ろから声が聞こえて、びっくりしてふり返る二人。
「「や、八神部隊長?!」
そこには、補佐役であるリインフォースツヴァイ空曹長を引き連れた機動六課部隊長、八神はやて二佐が居た。
「そないに驚かんでもえぇよ。ちょっと午前中に資料を閲覧しにきたとき、個人的な落としモンしてな。それ探しとったんやけど………… ふたりともこの辺で、これくらい小さなデータチップ見ぃへんかった?」
と、はやては手で、落としたものの大きさを表して、二人に問いかける。
「え?!」
「そ、それは黒っぽいチップでしょうか?」
はやてに聞かれ、ギクッとするティアナ。驚きでついぽろりと漏らすスバル。横でティアナが小さく「お馬鹿」と漏らす。
「ん〜、そんなものやけど、なんでそんな……………―― あちゃ、二人が見つけて開けてもうたんかいな。」
ふたりの言動に何かを感じたはやてだったが、後ろに見える画面を見てあきれたように呟く。
「中身を確認するのはわかりますけど、データを開けて、そのまま、そう言うモノを勝手に読むのはどうかと想うですよ? 二人とも。」
横にいたリインがお小言を言うように注意する。
「「す、すいません!」」
二人が深々と頭を下げる。
「まぁ、うちのミスやし、そいつは簡単に開いてしまうデータやからな。題名も今の二人やと、気になるタイトルにしとったからな。中身見てまったモンはしゃぁないけど………… 二人とも見た内容はオフレコやで?」
「え? は、はい!」
「判りました。」
直立不動で返事を返す二人。その後、端末に開かれたデータを閉じ、チップをはやてに返す。
「あの………… 八神部隊長。」
「ん? なんや、ティアナ。」
データチップをしまっているはやてに、ティアナが声を掛ける。
「あの………… 差仕えが有るようならお返事されなくてもいいです。さっきの文面データって…………… 」
ティアナの質問に、はやてが少し考えて、
「ん〜、まぁ途中まで読んじゃってるみたいやからなぁ。気になるか………… その様子だとざっとは読んでるやろから、単刀直入で返事するな。こっちがホントで、表立ってる事が作り話や。」
さらりと答えるはやて。ティアナもスバルも驚く。
「そやからな………… 二人には、この話は心の奥で止めててほしいんよ。特に先日やっと移動してきた特別講師の二人にも関わってくる話しやからな。」
「それじゃ、もしかして日記の後半に出てきた二人って…………」
スバルの呟きに、ニヤリとはやてが笑みを浮かべ、
「そういうことや。いわゆるトップシークレットを見たんやから、ホントにだまっとらんと………… 」
そういって、なにやら物騒なジェスチャーをする。スバルとティアナが短く悲鳴を上げて身を縮める。
「はやてちゃん、そうやって冗談で人を脅すのは良くないですよ? でも、ふたりはこのことは厳重に機密を守って欲しいです。新しく来られた二人の講師さんたちの存在と立場を危うくしますです。」
「それは判ってます。こんな話、誰にも言えません。」
「言っても信じてもらえなさそうだし………… 」
そう答える二人。はやてとリインがそれを聞いて優しく微笑む。
「あと、もう一つだけよろしいですか?」
「ん、なんや?」
「初めの方から、文に出てきている二人の件ですけど………… 」
「やっぱ、ティアナはそっちの方が気になるか?」
「え?…………あ、はい。」
質問したティアナにすこし意地悪そうな笑みを浮かべて聞き返すはやて。ティアナが一度目をそらしてばつが悪そうに返事を返す。
「その二人は、ウチら六課隊長陣、その他、その事件に係わった人達の大恩人や。そんで【ストライカー】の語源となった人たちや。」
「そうなんですか?!」
はやての返事に驚くスバル。
「そや。二人の活躍を元に、ストライカーの造語つくったんは、ガンツ二佐とうちとなのはちゃんや。ま、ここまで来ると中途半端はあかんな。リイン、ちょっと資料室をクローズしてな。さすがにここからの話は、ここに居る4人だけにしときたいから。」
「はいです。」
リインが返事を返して、資料室に人払いの結界を張る。
「ほな、二人にちょいと昔話や。そこには詳しく書いてない日記の続きを話したろな。」
そう言って、はやては少し昔の事を話し始める。


「しっかし、治った思たら、また寝込んでしもたね………… やっぱ、うちがあそこで無理にでも止めとくべきやったかな?」
はやてが苦笑いを浮かべながら、ベットにいるなのはに話しかける。
「にゃはは………… 魔法で強化して無理に身体を行使してたわけだし、いきなり動いてなかった筋肉使えば、こうなるのは明白だったしね。」
そう笑いながら答えるなのは。あの事件から一週間経ち、再び病院のベットに横たわるなのはとその横で難しい顔してるはやて。
「しゃぁないじゃん。あの時は説明してる間なかったし、詳しく説明したって、なのはは構わずになにかしらやってたでしょ? それをくんで九朔が進言したことをやっただけだし………… 」
「そうだとしてもだ。説明していなかったのは、我らの不注意だ。なのはさん、すまない。」
そう言って頭を下げる九朔。
「いいですよ、九朔さん。私も心では望んでいたことですから。それにこっちの痛みは、九郎さんとアルさんに治してもらう前の痛みと違って、よく知った懐かしい方だもん。もう一回飛べるって希望が持てる痛みです。だから、感謝しか出ません。紅朔ちゃんだって、あんな言い方してますけど、私の身体を考えて、局にいるレイジングハートを喚んでくれてましたから………… 」
そう言って微笑むなのは。頭を下げた九朔もすこし笑みを戻す。
「だけど、これからどないなるんやろな………… 二人とも。」
はやとがすこし顔色を曇らせる。
「君たちが紹介してくれた上司には、あの後にお会いして、こちらの事は伝えられることは全てお話はした。まぁ、その前に事件現場で出会った局の上官達には悪いことしたがね。」
そう言ってため息をつく九朔の横で紅朔が、
「しょうがないじゃん。こっちが魔力封印に行く前に、あんなねちねちと男の腐った事しか言わないんだから? 自分たちの事棚に上げるだけの、虎の威を借りる狐程度でしかない三下魔導師にはいいお灸じゃないの?」
そう、紅朔達は事件後の聴取の最中に、一悶着やらかしてしまったのだ。むろん、主に紅朔が、
「しかし、あれはやりすぎだ! リンディー総括管がフォローしてくれなかったら、一体どうなっていたことか………… 」
「はぁい。今後は反省しま〜す。」
一時は拘束されてしまったものの、その後に二人を徴収して、なのはやその他、事件に立ち会い、解決したメンバーから二人の説明をもらっていたリンディー・ハラオウンとレティ・ロウランからの助言が無ければ、大変なことになっていた。むろん、現地で九郎達の活躍を見ていた入院していたガンツ三佐の言葉もかなり聞いている。地上現場の人間の中では、ガンツの言葉は大きいのだ
「まぁ、ですからあの後、我らの厳重な魔力封印がなされるのを受け入れたわけですが………… やはり、なにか変な感じですね。」
「まぁね。とはいえ、私は元々術を多用していた訳じゃないし、使ってた術も多くなかったから、九朔ほどじゃないかな?」
二人は、査察部の局員立ち会いの下、フェイトやはやて、そしてボルケンリッター達から4重のリミッター処置を受けたわけだが、
「ほんでも、4重封印しても総合の《AA》っちゅうんは、めちゃ怖いんやけど………… 」
ため息付きながら、はやて呟く。
「ですから、あの封印の際に、こちらで我ら本来使える魔術を二人で4つに限定している。それでそちら基準値に見合うランクには落ちているはずだとは思うのだが………… 」
九朔の言葉になのはとはやてが苦笑いをする。実際、二人が封印しないときの測定は総合でSSS+。測定規格の中では値が大きすぎて、測定不能というモノさえあった。

二人が封印の際に手元に残した術は4つ。『二闘流』の戦闘を得意とする九朔は「イタクァ」と「ロイガー・ツァール」の記述を選び、戦闘は不得意だが、事、人を惑わすことには異常な才覚を持つ紅朔は「ニトクリスの鏡」と「アトラック・ナチャ」を選んだ。
「二人でそんなやと、九郎さんたちの実力ってどんだけだったんやろなぁ………… ま、九朔君たちでも足下に及ばんと聞いてるから、うちらみたい赤子同然なんはわかっちゃおるやけど。」
そう言って、またまたため息をつくはやて。病院に来るまでに、九朔から嫌と言うほど実力差を痛感させられている。そんな話をしていると病室にノックが聞こえる。
「はい、どうぞ。」
なのはがノックに返事を返す。扉が開き、そこには腕に包帯を巻いたガンツ三佐とリンディー総括官が居た。

「…………――とりあえず、二人は局員となる事で管理下に置く。そう言う方向で話を持っていくことで落ち着いたわ、それにしても大変だったわよ。あの騒ぎの後出し、力も『闇の書』とかの禁則事項レベルのロストロギアに匹敵するわけだから? その上、九朔君達二人の素性に結びつく物は、どの資料調べても無い。まぁ、今まで平行世界は理論的には存在は認識されてた訳だし? そのあたりはなんとか認識してもらえたんだけど………… あと、魔導書の記述は、あなた達が言っていたように他の管理外世界でもあったわ。無間書庫にも数冊【閲覧禁止】エリアにあった。一応、注意されていた事は守っていたんだけど、一人調査員が魔導書を読んじゃってね、精神汚染されちゃった隊員が居たわ。故に、そちらの方も二人が内容を我々に教えることって方向に持って行かざる得ない状況になってしまったと………… はぁ。」
そういって、リンディーがため息をつく。局としてはロストテクノロジーの解析は急務であるが、【魔導書】の内容を九朔達から聞かされた身としては、どうにか、そちらを無かったことにしておきたかったようだ。すると、
「その辺りは私がやろうか? 元々私自体が【魔導書】わけだし、リンディーさんとしちゃ中身知ってる以上、あまり一般的に知られたくない。私や九朔もそう。魔導書の内容は一部以外はこの世界の魔法には害にしかならない。それなら人を騙すのが本業みたいな私が、そっちを担当して、口外できそうな事柄だけうまく誤魔化して伝える………… んで、九朔はこっちで使える物を実技戦闘術として伝える。これらな、ばっちしでしょ♪」
「あら、そお? そうしてもらえる?」
リンディーが二人を交互に見つめる。紅朔は無言で頷き、
「紅朔の提案でかまいません。こちらはあなたに借りがある。それを返せるのなら………… 」
九朔も賛成。リンディーの顔色が明るくなる。
「なら、そうしましょう。そうなると、こちらでのお二人の戸籍とか何とかしないといけませんね。」
「ねぇ、それって一から造るの?」
リンディーの呟きに、紅朔が反応する。
「えぇ………… 元々お二人の世界は管理局で管理してないというか、観測さえされて無いわけでしょ? そうなると、一から作ることになるの。とはいえ、二人の場合は作るって言うより、偽装に近いわね。管理局のコンピューターにお二人が居て当たり前なように教え込むことになるから………… 」
と説明するリンディー。しかし、その目の奥にいささか問題ありげな光が見える。
「偽装………… つまり、この世界を管理してるの機械を騙くらかす訳ね………… おもしろうそうね。手始めに私、手伝っていい?」
「あら、いいの? けっこう手間よ?」
「だいじょぶ、じょぶ! あぁ………… なんか腕が鳴るわ♪」
手をわきわきと動かして嬉々する紅朔。リンディーはそんな紅朔を見て少し考えると、
「ちょっと紅朔さん? これ見てどう思う?」
そういって、二つほどの画面を紅朔に見せる。
「ん? …………――――あぁ、これね。でも、これだと、こことこの部分から改ざんが履歴でわかっちゃうわよ? それじゃ意味がないわ。それなら、ここの部分に7つのダミーデータを検索された際に映し出す様にし向けて、それでも検索してくる連中にさらに4つのルートを用意。んで………… 」
と、一瞬でリンディーが用意した改ざんダミープログラムを、精通した者でなくてはわからない箇所の指摘する。しかも、明らかにその上を行く手法を説明し始める。リンディーは思う。
(これは言うだけあるわね。)
「…………――――あら、すごいわね。そう来るわけ? そうだと、ここと、ここに改ざんを加えるってのは?」
「あぁ、それもいいわね。じゃぁ、そこにここと、ここへダミールートを付け加えるのは?」
そういって、二人が意味深な笑顔で見つめあう。それを遠巻きで見ているなのはたち4人。
「おい………… あれ、いいのか?」
付き添ってきたガンツが、隣にいた九朔を肘で軽くつつく。
「しかたないでしょ………… あぁなった紅朔は止まりません。まさか、リンディーさんもあのような面があったとは知りませんでしたが………… 」
そう呟いて、軽くため息を吐く九朔。なのは苦笑いを浮かべ、はやても同じ意見のようで短い笑いを浮かべた後、
「あの二人、変に気が合うてしもたなぁ………… そやけど、二人の話の流れやと、次に紅朔さん達に会うときはお互いに局の人間同士っちゅうことで、えぇのかな?」
そう言ってはやてが、九朔を見つめる。
「おそらくは………… だが、どういった部署でどこに行くかはわかりませんね。あくまでも我らの監視が目的でしょうから………… もし、別の場所で会ったその時はよろしくお願いします。」
そう言って九朔は、なのはとはやてに右手を差し出す。
「えぇ、九朔さん。」
「こっちもよろしくや、九朔さん」
ふたりも差し出された九朔の手を握り返す。
「はよ、九郎さんたちが帰ってくるとええぇな。」
「あぁ………… 」
はやての言葉に、照れたように九朔が返す。

その後、話はとんとん拍子に進んでいき、今日中に例の作業の段取りまで入ることとなった。そこで九朔達はリンディーに連れられて、局にある【とある部署】へと移動する事となった。
「ほら、九朔。早く行くよ。」
先に廊下に出ていた紅朔が、九朔を呼ぶ。九朔は、なのはたちに一礼すると病室の入り口に歩き出す。そして、入り口でふり返り、
「では、また………… なのはさん、はやてさん。」
「ほな、またな。九朔さん。紅朔ちゃん。」
「またです、九朔さん。紅朔ちゃん。」
二人はそう言って二人を見送る。一礼する九朔と、手を振って去っていく紅朔。病室にはガンツとはやて、なのはだけが残る。
「ガンツ三佐は、一緒に行かれないんですか?」
「ん? おれも一応はここに通ってる病人なんでな。この後、こいつの精密調査があるのさ。」
そういって、自分の包帯に巻かれた腕を指さすガンツ。
「まぁ、一応肩に大穴と左腕骨が完全に逝ってたからなぁ………… かなりの補強は必要だろうな。」
などと言って豪快に笑う。内容的には笑えないモノだが怪我が日常茶飯事のガンツであるからの会話だ。
「しっかし、お前さんの報告だと、ワシとあの大十字とかいった兄ちゃん。対して変わらんケガをしておったそうだな。」
不意に話を変えるようにガンツがはやてに話しをふる。
「へ? あ、はい。そうですね。九郎さん、最後の決戦前、左腕にシグナムの偽モンの刀を貫かれていたみたいですから、その後、血がめちゃ出てるの私、みてます。他にも結構、身体に刺し傷とかが、多かったん覚えてます。腕の傷は特に酷かったですから、神経とかも切れてたんじゃないかと………… それにアルさんがなのはちゃんの治療前に言ってました。自分は戦闘中においては、人体治癒能力の活性化させて、自然治癒を早めるくらいの応急処置しかできないから、重傷レベルの大きな怪我は、まともな治療はできないって。」
「すると、化けモン倒した決戦時は、左腕はほとんど動かなかったって言うことか? 」
そういって眉をひそめるガンツ
「そうなると想います。九郎さん、治療をする時間は有ったのに、そんなの関係ないかのように戦ってました………… ウチが、気がついたときにはもうかなり経ってましたから、シャマルがそのとき、止血だけはしてくれましたけど。」
はやての言葉を聞いて、ガンツはしばし難しい顔をする。そして
「…………――頭のいい軍人としてはやっちゃいけない行動だな。馬鹿がする行動だ。」
ガンツの言葉になのは、はやてがすこしムッとする。ガンツは一拍おいて、
「だが、オレは好きだ。そう言う馬鹿が、ああいう土壇場では必ず、事態をひっくり返すからな。お前らもそう思うだろう?」
そういって、ニカリと笑う。はやてとなのはが笑顔で頷く。しばらく、ガンツが検診に行くまでの間、3人は九郎を話題に話に花を咲かせた。

「ほんでな、その時3人で作ったんよ。九郎さんの事を忘れんように、二人のような絶対的な危機をひっくり返す人になろう、そんでそんな人のことを【ストライカー】と呼ぶようにしようってな。」
「そうだったんですか………… 」
はやての話に感心して頷くスバル。ティアナはすこし考えたように首を傾げ、
「えっと………… その「九郎さん」が【ストライカー】の始まりというのはわかりました。だとすると、【ストライカー】の語源は?」
「あぁ、それはな………… リィン。このファイルの8番目。開いてくれるか?」
「ハイです。」
はやてはティアナの質問に頷くと、先程ティアナ達が渡した日記ファイルをリィンに開けるように手渡す。リィンがそれに頷いてファイルを自身のストレートデバイスから間接的に読み込んで、ファイルを掲示する。
「たぶん、読んでるとおもうけど、ここの部分な。九郎さんがフェイトちゃんやガンツさん助けた時、他にも危機的状況な時に、ここって処で必ず使ってた九郎さんの必殺技みたいな術があんねんな。あの時、ガンツさん達が来る前日に見舞いに来とったフェイトちゃんが、その時九郎さんが何叫んだのを覚えとったん。九郎さんが叫んだって、技の名前が【アトランティス・ストライク】。どんな分厚い壁をもぶち破り、どんな敵をぶっ飛ばす。うちやなのはちゃん、あの時おった誰もが知っていて【あの】技にかなうモンは現存じゃ、一つ二つくらしか思い浮かばん程の威力を持つ九郎さんの必殺技の1つや。」
そう言って微笑むはやて。
「アトランティス………… たしか、いくつかの世界にある【幻の文明】とか言われてる奴ですね。」
「うん、そや。うちの出身世界にもある伝説上の文明。一夜にして海に消えたっていわれてる。」
「へ〜………… そんなお話もあるんですか?」
二人の会話をよそに、変に納得してるスバル。
「ま、アトランティスの語源は別にしとこか。話進へんし………… その技の名を借りて、作ったが【ストライカー】となるわけや。」
「なるほど………… わかりました。えと、参考にその技の威力って、どれくらいだったんですか?」
語源の意味を理解したティアナはやはり、其処まで褒める技が、どれほどまでかが気になっていた。
「う〜ん。うち自体は身近で目にしたわけやないからなぁ………… 遠目じゃよく覚えてないんよ。」
「あ、それなら、私がお答え出来るですよ?」
返事にこまったはやての横で、リィンが小さく手を挙げる。
「ほんまか、リィン?」
「はい。前にヴィータちゃんが話してくれました。以前、ヴィータちゃんと一緒にメンテに行った時………… 」

「そういえば、聞いてなかったですが、グラーフアイゼン、少し前にフルオーバーしてたんですよね?」
「ん? あぁ………… 」
ヴィータの定期検診発表についてきていたリィンが、以前から気になっていた事をヴィータに質問した。
「グラーフアイゼンや、シグナムのレバンティン。守護騎士の皆さんのデバイスはかなり完成されたすばらしいデバイスですよね?」
「そりゃ、【夜天の主】を守る守護騎士が持つデバイスだからな。」
誇らしげに答えるヴィータ。
「じゃ、なんでヴィータちゃんは、アイゼンを強化をしたんですか?」
リィンの素朴な質問に、ちょっと渋い顔をするヴィータ。しばらくうなったように考え込むと
「あんまり、理由は話したくないんだけどぁ………… 」
と呟いて、
「シグナムとかに言うなよ。実はな………… 」
そういって、照れくさそうにヴィータはその理由を話始めた。

「で、その時に聞いた威力の程ですが、おそらく、なのはさんの【スターライト・ブレーカー】に匹敵すると………… 」
「「スターライト・ブレーカー!!」」
ティアナとスバルが度肝を抜かれたように、目を丸くする。
「たしかにそうかもなぁ………… んでも、あの体制でそれやと、魔術構成は………… 」
他にもなにか言いたそうにはやてが呟く。
「あ、【アトランティス・ストライク】って技は、収束魔力砲撃なんですか?!」
ティアナがワタワタと聞き返す。
「それは違うみたいです。ヴィータちゃんが技の参考にするのですから、完全な打撃系。私も聞いた話から要約するだけですけど、おそらくは魔力を極限の極限まで収束。それを打撃面でのみ爆発させるといった物だと思います。」
リィンの説明に顔面を蒼白させるティアナ。スバルは想像もつかないのか頭をひねる。はやては妙に納得している。
「り、リィン曹長! そ、それって………… 」
「はいです。魔力の収縮に出力制御、力場の固定にその他諸々。簡単に推測しただけでも、数種の制御をほぼゼロコンマでの演算が必要です。おそらく、私達が考えているような物のだけでなく、空間系、もしくは次元制御なども考えられます。ハッキリ言って、私もですが、これを完全に再現するのは不可能です。」
リィンの説明に今まで以上にショックなティアナ。横で考えながら聞いていたスバルが
「つまり………… そんな凄い人。なのはさんや、ヴィータ副隊長がお手本にするような人になるように、今指導してもらってる訳だ………… よし! なんかサラにやる気出てきた!」
「ちょ、あん………… はぁ〜〜〜〜………… 私は聞いて、よけいに気が重くなったわ。聞くんじゃなかったぁ〜………… 」
スバルの言葉に即座に突っ込み入れようしたティアナであったが、スバルのいつも以上のキラ眼顔を見て、大きなため息をつく。
「二人とも頑張ってな。うちもやけど、なのは隊長、フェイト隊長や副隊長たちも「そんな凄い人」に追いつけるような子になるって予感を、フォワード4人にしてるってことやからな。」
対局な受け取り方をしてるスバルとティアナに、はやてがそう言葉をかける、二人は一度見つめ合い、何かを覚悟したように
「「はい、頑張ります!」」
そういって、敬礼する。はやてはそんな二人に微笑み、
「ほな、二人とも戻りや。けど、日記の内容は………… な?」
「「はい。」」

資料室を出て、ストライカーの語源をどうキャロやエリオに話すかなどを話しながら、隊舎の方に歩いていく意気揚々なスバルと少々気が重そうなティアナ。その二人を資料室の前で見送るリィンとはやて。
「だけど………… 本当、話してしまって良かったんでしょうか?」
リィンがすこし眼を細めて、はやてに問いかける。
「そやね………… スバルは良いように受け止めてくれたみたいやけど、普通はティアナの反応やろうね。けど、それでもこれからの事考えるとほんま、【ストライカー】は多い方がええんや。実力やのうて、気持ちの上での…………な。」
二人の背を見つめ、はやては真顔で答え、またいつものほほえみに戻る。
「さて、うちらはみんなが動きやすいように、色々と走り回っとかなな。」
「はいです。この前のガジェット達のデータとか、謎の召還士。その他のデータをまとめてあります。部屋で詳しくお話ししますです。」
「うん、ほな聞こか。」
そう言って、二人は資料室を後にした。

リィンははやてをみて、にこりと笑う。資料室から隊長室へと歩いていく二人。
「そういえば………… はやてちゃん、九郎さんの話をする時は、本当に嬉しそうですね。」
「ん、そっか?」
はやての横を飛んでいたリィンにはやてが答える。
「はい。なんかとても好きなことを話している時と同じです。もしかして、はやてちゃん、九郎さんが好きなんじゃないですか?」
「ふぇ! な、なに言い出すんや!」
リィンの言葉に、顔を真っ赤にして取り乱すはやて。リィンはそれを見て含み笑いを浮かべ、
「ふふ………… 冗談ですよ。そんなに驚かなくてもいいのに♪」
「ちょ! 言って良い冗談あるやろに〜…………待て、リィン。お仕置きしたる〜。」
「アハハっ! それは困るです〜」
じゃれたように先を飛んでいくリィンを追いかけるはやて。リィンを追いながら思う。
(あれから8年。九郎さんみたいになりたい思った。理不尽な事すらひっくり返す。だれの悲しい顔も見ること無いようにしてみせる人になるやと………… せやけど、うちは九郎さんみたいにはなれんと気がついて………… そやから九郎さんみたいな人が、なにも気にせんで、その小さな正義【正しき怒り】に従って、どんな理不尽も撃破して、みんなを、世界を護ることができるよう、土台を作る役になる。裏方に、陰のサポートなるって決めたんや。いつか九郎さんに合うた時に、笑って会えるようにって………… )

すこし思い出したように、顔をほころばせるはやて。
「ほら、だいぶ顔が紅い。『八神2佐がお一人なのは、なにか理由がある』って噂の真相は、そこですかねぇ? 」
そういって、かなり離れた角で立ち止まり、ニヤニヤ笑うリィン。
「も〜、リィン! からかうんやない!」
すこしだけ、年相応な顔を見せるはやて。他に誰もいない廊下ににぎやかな声が響く。








これはおとぎ話。語り継がれるおとぎ話。
暗き、深き、強大な邪悪を打つために、大いなる書の精霊と心を通わせ、人でありながら、神を超え、刃を執って道を切り裂くモノとなった青年のお話。
青年は多くの世界を渡り歩き、倒れながら、傷つきながら、血反吐を吐きながら邪悪を、悪をその刃で断ち切っていった。
青年は振り向かない。精霊と共に、世界から邪悪を断つために前に進む。小さな、小さな『正しき怒り』という正義を胸に…………
いつしか、その青年の背を追いかける者が現れる。その者は彼に救われた者だったり、道を正された者であったりした。その皆が口をそろえて言った。
『彼の背を見て思うのだ。追いつきたい………… 並びたい』と………… 
そして、小さな正義の後を多くの脆弱な正義がたどる。それは何時しか道となる。けして絶てない大いなる『希望』という道に




It will be take-off in the future of hope.




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