狂科学ハンターREI SS 『桜の育児日記』 第7話
by Sin



春美と出会ってから2ヶ月。桜は完全にHIMEに住み込み、毎日春美の面倒を見ていたが戦史研にも殆ど顔を出さない為、流石に月形が文句を言いに来た。
「おい、桜! 2ヶ月も休んで何してやがる!」
HIMEに乗り込んできた月形は、ドアを開けると同時にそう言ったが、目の前の様子に言葉を無くした。
「お、おい・・・その子供・・・」
「あ、月形さん、久しぶり〜」
そう言いながら春美をあやしている桜の様子に、月形は唖然としていたが、やがて・・・
「お、お前、いつの間に・・・」
「へ?」
「一体いつの間に子供なんて作りやがったんだ!?」
「別に私が作った訳じゃないけど。ねぇ、春美ちゃん」
そう言って春美に微笑みかける桜の様子に月形は戸惑いを隠せない。
「なっ、え、あ・・・」
その時、奥の部屋から玲が姿を見せた。
「お待たせ、桜さん。春美のミルクできたよ」
「ありがと玲くん。ほら、春美ちゃ〜ん、ミルクですよ〜」
「あれ、月形さん」
春美がミルクを飲み始めるのを見ていた玲は、しばらくして、ようやく月形の姿に気づいた。
「玲! まさか・・その子供はお前の・・・」
「別に僕が作った訳じゃないですけどね。とりあえず飲み物でもどうです?」
飄々として言う玲の様子に、とうとう我慢の限界を超えた月形は・・
「何が一体どうなってるのか・・誰か説明しろぉっ!」
そう叫ぶしかなかった。


それからしばらくして、ようやく落ち着いた月形に玲と桜は現状を話し始めた。

「なるほどな。ここの前に捨てられてた子供が、その・・・」
「春美ちゃんだって。いい加減覚えてよ、月形さん」
桜にそう言われて月形は、ばつの悪そうな顔をした。
「それで、その春美をお前達が育てていると・・そう言う事だな?」
「うん。そう言う事」
「だが、なぜお前がする必要がある? 玲とアリシアに任せておけばいいだろう?」
「ひっどーい! こんなに小さい子をほっとけって言うの!? 月形さんってそんな人だったんだぁ」
「う・・お、おい、玲! だいたいなんで桜がここに泊まり込みで世話しなくちゃならねえんだ! お前がアリシアと二人でできる事だろうが!」
「僕達じゃ、色々できない事もあるからね。それに、桜さんに一番なついているし」
「それに、今は私、春美ちゃんのお母さんだもん」
「なっ・・」
「玲くんと私、二人で春美ちゃんを育ててるんだから、お邪魔はしないでよね、月形さん」
絶句する月形に桜はそう言うと、ミルクを飲み終えた春美をあやし始めた。
「だ、だがな、戦史研の仕事を2ヶ月も休むなんて事が・・」
「ああ、室長には『育児休暇』って事で、ちゃんと許可貰ってるから」
「い、育児休暇ぁ!? お前が産んだ子供でもないのにか!?」
「ちゃんと室長は許可してくれたもん。と言う事で・・そろそろ春美ちゃんのおねむの時間だから、月形さん、またね」
「お、おい、桜!!」
「あ、玲くん。月形さんの相手、お願いね〜」
「わかった。春美の事、頼むよ」
「うん、まっかせて」
そう言って奥の部屋へと入っていった桜を呆然と見送った月形は、やがて出された紅茶を一気に飲み干すと、何か言おうとして、結局何も言えずにHIMEを出て行った。



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