狂科学ハンターREI SS 『桜の育児日記』 第5話
by Sin



「ふぅ〜ただいま〜」
「ただいま、アリシア…あれ、いないのか?」
「あ、玲くん、これ」
桜にそう言われて見ると、カウンターの上にメモがおいてあった。
「えっと…『タケルくんと出かけてきます。玲、桜さんと春美ちゃんのことお願い』…だって」
「お願って言われてもね………あ、桜さん。何か甘い物でも食べる?」
「もちろん! 春ちゃん抱いて歩き回ってたら、お腹すいちゃった」
桜が嬉しそうにそう言うと、春美も真似をして嬉しそうに手をばたつかせた。
「ほら、春ちゃんもお腹すいたって」
「じゃあ桜さんの分はこっちで用意するから、春美には桜さんが飲ましてあげてよ」

その玲の言葉に、桜は一気に耳まで真っ赤になった。
「なっ、なに言ってるのっ! わ、私、出ないんだからねっ!!」
そう言った桜の言葉に玲はきょとんとしていたが、やがて言いたいことが分かると、
慌てて否定した。
「ち、違う違うっ! 桜さんが哺乳瓶で飲ましてあげてって意味っ!」
「あ………」
真っ赤になって言う玲に桜は顔中を真っ赤にしてうつむいた。
そんな二人の間には重苦しい沈黙がでいつまでも続くかと思われたが、春美の泣き声で
我に返った。

「え、えっと、じゃ、じゃあ桜さん、春美の事頼むよ!」
「う、うんっ」
それからしばらくの後、ようやく落ち着いた二人は、春美にミルクを飲ませながら談笑していた。

「ほんとにさっきは焦ったよー。いきなり玲くんが凄いこと言い出すから…」
ミルクを飲む春美の頬をつつきながら桜がそう言うと、玲は顔を赤くした。
「そういうつもりで言ったんじゃないんだけどなぁ………そう言う桜さんこそ、よくあんな風に考え
られるよ………」
「だ、だって………親父にあんな事言われたばかりだし………最近そういうことよく言われるから………
つい……」
「まあ、誤解されるような言い方をした僕も悪かったけどね」
そう言って笑う玲に桜も苦笑した。

「あ、春美、そろそろお腹いっぱいみたいだね」
「ほんとだ………春ちゃ〜ん、もうおねむですかぁ?」
「桜さん………」
「なぁに?」
「似合い過ぎ……」
「えっ?」
「春美を抱いてる姿と、その赤ちゃん言葉。桜さんに似合い過ぎてる……」
「や、やだ、もう、玲くんってば……冗談ばっかり………」
そう言って顔を赤らめた桜の肩に、そっと玲が手を置いた。
「えっ、玲……くん?」
「………今の僕達って、周りから見たらきっと新婚夫婦に見えるんじゃないかな?」
「あ、あはは、かもね………照れるけど……」
「こんなのも………悪くないもんだな……」
「え?」
「あ、い、いや、なんでもないんだ」
「玲くん?」
「ほ、ほら、桜さん。春美がもう寝かけてるよ」
「あ、う、うん………じゃあ、春ちゃん寝かせてくるね」
「よろしく、桜さん」
「まっかせて」

奥の部屋に入っていった桜を見送った玲は大きな溜息をついた。
「まさか、本当に新婚夫婦になったみたいな気持ちがしてたなんて………言えないもんなぁ………」
そう言って玲が溜息をついていた頃、桜は………

「ねぇ、春ちゃん………玲くんとあたしが本当に春ちゃんのお父さんとお母さんになったら………嬉しい
かなぁ?」
そう呟いて春美の頬をつつきながら、桜はやがてウトウトと眠ってしまった………







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