DADDY FACE SS 『美貴の悩み』
by Sin



カト女近くの喫茶店。
その一角で、一風変わった家庭問題に頭を悩ませる3人がいた。
「ねぇねぇ〜しゅーくんとの仲、とりもってよ〜」
「うるさいな〜、久しぶりに呼び出したと思ったら、またこれ?」
「だって〜、最近、しゅーくんってば全然誘ってくれなくなったんだよ〜前は
向こうから誘ってきてたのに〜」
「それって前にも言ってたでしょ・・・もぉ、全然進歩ないんだから・・」
「だってぇ・・」
「美貴ちゃんも大学生なんだから、自分のことくらい自分でしてよ〜」
「ふぇ〜ん、美沙が厳しいよぉ」
「だから前と同じリアクションはやめなさいって」
「あうぅ・・・」
「そろそろ本当のことを打ち明けたらどうです、母さま」
「あのねぇ、それができないから、こうやって私達にすがってるんでしょうが」
そう言って美沙がため息をついた時だ。

「あれ、美沙ちゃんに樫緒くん。それに美貴ちゃんも。3人でこんなところでどうしたの?」

「しゅ、しゅーくん!?」
「鷲士くん!?」
「父さん!?」
慌てて振り返る3人に鷲士は目を丸くしていたが、やがて・・・
「こ、こんなところに来るなんて珍しいじゃないか、鷲士」
「うん、ちょっと美貴ちゃんの事探してて・・」
「えっ・・・私の・・事?」
「今日、誕生日だったよね・・これ・・高いものじゃないんだけど・・・」
「プレゼント? ・・・私・・・に?」
「いつも美沙ちゃん達がお世話になってるし、僕もこの前の津市の時、いろいろ助けられちゃった
から・・・そのお礼もまだだったしね・・」
「・・・ありがとう・・嬉しいよ・・鷲士・・」
わずかに頬を赤らめてそう言った美貴に鷲士は照れくさそうに笑った。
「じゃ、じゃあ美沙ちゃん、樫緒くん。僕はこれからバイトがあるから・・」
「大丈夫だって〜ちゃんと遅くならないうちに帰るから〜」
「心配は無用です。我々をなんだとお思いですか」
そう言った美沙達に笑いかけると鷲士は再び美貴に向き直った。
「美貴ちゃん、えっと・・誕生日おめでとう・・それと・・これからもよろしく・・・じゃ、
じゃあ、また・・・」
照れくさそうにそう言うと鷲士は慌てて店を出て行った。

「しゅーくん・・・・」
ぼ〜っとその後を見つめる美貴だったが、やがてジト目で見つめる二人の視線に気づいた。
「な、なに?」
「何が相手してくれない・・よ。ちゃんと美貴ちゃんの事見てるじゃない」
「全く・・色々と悩んでいた我々が馬鹿みたいではないですか」
そう言ってため息をついた二人を美貴はそっと抱き寄せた。
「ごめんね・・・ありがと・・」
美貴のつぶやきに美沙達はまんざらでもない顔で視線を交わすと、どちらからともなく
笑った。

その夜。鷲士から送られたハート形のネックレスを抱きしめて美貴が妄想にふけっていた事は
言うまでもない・・






                     
戻る