DADDY FACE SS 『回避不能(2)』
by Sin



 一触即発…
 まさにその様相を呈している鷲士と虎雄。
「2人とも、やめてよぉ!!」
 美沙の言葉が放たれた次の瞬間、虎雄の姿がかき消えた。

「またあの速さ!?」
 驚く美貴達だったが、鷲士は至って冷静。
 スッと身を屈めると唐突に現れた虎雄の右竜徹陣をかわし、逆に左竜翔扇で打ち上げる。

「かはっ!!」
 技の間隙を縫った一撃に、一瞬息が止まるかと思うほどの衝撃が虎雄を襲う。
 そして虎雄の身体が浮き上がった瞬間、鷲士の両足が虎雄の首に絡みついた。

“九頭双竜・顎” 

「シィィィィィィッ!!」
 その瞬間、鋭い呼気と共に身体を回転させてなんとか顎から抜け出した虎雄は着地を待たずに空中を蹴って反転。その勢いのまま、更に空中を蹴り付けつつの一撃を放つ。

“九頭竜・蓮華歩舟”

 虎雄の一撃が鷲士に入るかと思われた瞬間、鷲士はその突きの方向を強制的に変えた。

“九頭・左竜輪剄”

 唐突に攻撃の方向を変えられて、虎雄の身体が錐揉み状態になりながら地面に叩きつけられる。
 呼吸すら止まる程の衝撃。
 だが虎雄は更にそこから転がって鷲士との距離を開けた。

「はぁ……はぁ……」

 戦いが始まってまだ数分。
 だが、虎雄の劣勢は火を見るよりも明らかだ。

「その程度か……?」
「くっ……」
「その程度なのか、君の覚悟は!!」
 言葉と共に、爆発的な踏み込み。
 虎雄が身を守る暇もなく、鷲士の突きが連続で虎雄に突き刺さる。
 激しい乱撃に虎雄の身体は宙に舞い上げられ、かわす事すらままならない。
「その程度の覚悟で、美沙ちゃんの身体に、永遠に消えない傷を残したのかぁっ!!」
 咆吼。
 それと共に鷲士の抜き手が虎雄の腹をえぐろうとしたその時…

「シィィィアァッ!!」

 裂帛の気合い。
 一瞬、鷲士の手が虎雄を捉え損なった。
「くっ!?」

 そして次の瞬間…
 右腕に強い重さを感じたと同時に鷲士の身体は地面に叩きつけられた。
 首ではなく、肩を捉える変形の九頭双竜・顎だ。

「かはっ…」
 思わずその衝撃に咳き込む。
 だが、のんびりと休む間もなく、更に倒れた鷲士の上から虎雄が舞い降りると共に拳を突き立ててくる。
「ちぃっ!」
 鷲士は身体を反転、それと同時に地面に徹陣を打ち込むとその勢いを利用して場を逃れた。

 一撃、一撃が必殺の威力を持つ技。
 その応酬に美貴は呆然と見つめ、美沙は必死に止めに入りたいのを堪える。

「虎雄……負けないで……」

 祈るように呟く美沙。
 その思いに答えるかのように、虎雄は再び裂帛の気合いで鷲士を……

「遅いと言っているッ!!」
 
 一瞬支えていた攻撃の力が弱まってつんのめる虎雄。

「うわっ!?」
「ここまでか…ならせめて、僕の手で決着をつけてやる…」

 言葉と共に鷲士の身体が動く。
 左右の手が一斉に虎雄を襲い、触れた瞬間…

“九頭・双竜涅槃撃”

「…終わりだ…」
 冷たく言い放つ鷲士。
 そして……全身から血を吹き出して、虎雄が倒れる…

「と、虎雄ーーーーーーーーーーっ!!」

 美沙の悲鳴が、辺りに響いた……





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